心臓が停止した人への「胸骨圧迫(俗に心臓マッサージ)」の深さは、平成24年4月1日付、国の基準により、成人の場合は少なくとも5㎝以上圧迫しないと効果がないとされています。(平成27年のガイドラインでは、「5㎝以上
で6㎝を超えない」と改正されました。)
しかし、救命講習で使用する安価な人形は、5㎝程度圧迫すれば音がする簡易な人形が多く、5㎝に達しない場合、何㎝圧迫しているのか分かりません。
そこで、「何センチ程度圧迫しているのか?」、また、「圧迫を戻しているか?」を確認できる簡易なスケールを製作しました。
なお、この胸骨圧迫深度計は、さいたま市消防局、さいたま市教育委員会などで使用して頂いております。今までは無料で配布しておりましたが、材料費の負担を頂き多くの個人、組織で使用して頂くよう作製いたしますので、下記により依頼をお待ちしています。
※ 共同開発者の清宮氏により、平成26年7月に実用新案を取得しました。
① 外側のパイプだけを持つ。
② 訓練者の手掌部に、器具の下側
を垂直にあてる。(訓練者は手を
胸部に置くだけで圧迫しない。)
③ 外側パイプ上端を、内側パイプ
の0㎝の位置に合わせ、器具を動
かさずに保持している。
④ 訓練者が胸骨圧迫すると、内側
のパイプだけが下がる。
⑤ 外側パイプの上端位置の目盛を
確認する。目盛は1㎝間隔で7㎝
まで記してあります。
次に圧迫を解除した際、A図の
③の様に、外側パイプの上端が、
0㎝の位置まで戻っているか否か
を確認する。
写真は説明し易いように実施者の左側から器材を持っていますが、実施者の正面に位置した方が、実施者の邪魔になりません。
材料製作費として、1本180円及び郵送料を負担して頂きますのでよろしくご協力をお願いいたします。
なお、在庫は持たず1本づつ作成する依頼後に製作するため、1週間程度の納品をご了承ください。
製作依頼は、Jimdo指定の「フォーム」とのアドレス相性が悪いため、次のアドレス(浪江信雄)に送信してください。
1 本数(最小5本から)
2 郵便番号 住所
3 氏名
4 連絡先電話番号
5 メールアドレス
6 器具に記す名称
7 その他のご要望
朝日新聞の埼玉版に「胸骨圧迫深度計」が掲載されました。胸骨圧迫深度計の写真は小さいですが、台湾の関係者も関心していたとのことです。
製作過程について記述します。
最初はステンレスパイプで製作しましたが、コスト、切断、重量などで問題がありました。
次にアクリルパイプを用いましたが、切断面が綺麗に仕上がらず不良品が多くでました。最後に用いたのが透明のABS樹脂パイプです。このパイプは、購入したスライド丸鋸を使用して切断面の両側をシッカリ固定すれば、ある程度綺麗に切断できました。ただし、細かいバリ取りに手間がかかります。
次に手掌部に当たる部分の材料については、手掌部を損傷しない柔らかい材質であることと、上下運動にもズレないある程度パイプより大きな物を試作し取り付けました。しかし、コストやパイプとの接着方法で問題がありました。
そこで、各種のパイプの切断面に付ける「エンドキャップ」を探していたところ、手掌部に吸い付き、接着が不要な軟質キャップが見つかりました。
次に圧迫の目安である「ライン表示」については、当初はマジックで内側パイプに0㎝線と5㎝線を手書きしましたが、外側パイプとの上下運動で線が擦れて見づらくなってしまいます。そこで、内側パイプの中に印刷した紙を挿入することになりました。しかし、内側パイプの内径は5㎜と狭く、紙を筒状に巻いて挿入することに苦労しました。そこで紙の厚さを変えたり、巻く方法などを工夫して何とか成功しました。また、手間はかかりますが、希望する名称を印刷するようにしました。
最後に、内側と外側のパイプが透明なため、外側パイプの上端部分(圧迫合わせ位置)が上下していると見づらいため、同部分をマジックで黒く色付けし、更にパイプの外側と内側にはみ出した塗料を削り取りました。その他、大した機材もなく素人が作るので細かい作業が必要です。今後共、改善を試みながら、多くの方に使用して頂くために皆さんのご指導をお願いいたします。
私が所属しているシニア大学を講習した際の状況です。